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公職選挙法の解説ブログ

選挙違反の事例を徹底解説

「べからず法」といわれる公職選挙法ですが、実際の選挙の現場や選挙違反の事例などを挙げながら、選挙全般について解説していきます。
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<小田原市長>後援会が会報に当選御礼 公選法抵触か

5月18日に投開票された神奈川県小田原市長選で初当選した加藤憲一市長(44)の後援会が、会報に当選御礼の文書を掲載し、配布していたことが11日 分かった。公職選挙法は有権者に当選あいさつの文書頒布を禁じており、加藤市長は「チェックが甘かった」と釈明している。

公職選挙法では選挙期日後の挨拶行為に制限を設けています。
この行為自体は直接選挙の当落には関係ありませんが、これを行うことにより多額の費用がかかったり、事後買収の温床にもなりかねないとの危惧から禁止されています。

制限内容としては
  • 選挙の期日後に
  • 当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的で
  • 以下の行為をしてはならない
    1. 選挙人に戸別訪問すること
    2. 自筆の信書、当落の祝辞や見舞いに対する答礼のための信書以外の文書図画の配布や掲示
    3. 新聞や雑誌の利用
    4. 放送設備を利用して放送すること
    5. 当選祝賀会やその他集会を開催すること
    6. 自動車を連ねたり、隊列を組んで往来するなどの気勢を張る行為
    7. 当選に関する答礼のために当選人の氏名または政党その他の政治団体の名称を言い歩く行為
となっています。
今回の場合は、上記の2 、信書以外の文書図画の配布行為を行ったわけです。

投票日当日に選挙事務所に「当選御礼」などの張り紙をしたり、選挙後のホームページで「ご支援ありがとうございました」などとトップページに記載したりしますが、これらもこの条文による公職選挙法違反になります。
通常これらの場合は、警察当局からの警告されるぐらいですむのですが、今回の場合は後援会員5000名にすでに郵送しているため、警察としても警告を打ちようがないでしょう。
選挙後のあいさつは次の選挙につなげるためにも重要ですが、いくらでも方法はあります。
今回の場合はせっかくの当選に水を差すことなりました。

ちなみに罰則は30万円以内の罰金のみで、当選無効や公民権停止はありません。
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? 無題
本人ではなく後援会長の責任ですよね。
何らかの処罰されるんですか?
市長の職も辞さないといけなくなるんでしょうか?
今後が気になります。
NONAME 2008/06/12(Thu)12:59:09 編集
? Re:無題
コメントありがとうございます。
通常であればあまり起訴されることはないと思いますが、新聞にも出ているので警察・検察も動かざるを得ないかもしれません。
悪質でなければ不起訴処分もありえますし、有罪でも30万円以内の罰金なので比較的軽微ではないかと思います。(後援会長本人はたまったものではありませんが・・・)

この件で市長が直接辞任するといった事態にまでは発展しないとは思います。
ただ報道でしか知りませんが、どうも市議会は野党が多数を占める見たいです。
その中での議会運営も大変であり、今回の件は攻撃される材料を与えたという意味では今後苦労するとは思います。
2008/06/12 14:07
? 無題
ありがとうございました。
NONAME 2008/06/12(Thu)16:41:24 編集
? 無題
各紙で報道されてしまいました。
まだ、捜査機関が動いたという話は聞きませんが、
「司法の判断にまかせたい」なるコメントが出るほどです。楽観できない状態だと思います。
実は新市長の対立候補で落選した元県議というのは、警察関係に太いパイプがあり、後援会長が元公安委員だった方だそうです。それもあってか、選挙中に対立候補だった新市長の運動員に対し、些細なことでも警察沙汰にすると脅しをかけ、事情聴取されたかたもいらしたほどでした。しかも、自分たちの違反放題にもかかわらず。今の市議会はその元県議を応援してきた方がほとんどです。
となると、いずれ刑事事件として扱われるのは避けられないとおもいます。
その場合、罰金か不起訴といっても嫌疑なし(不十分)は無理でしょうから、やはりこのことは厄介なことになる可能性があるとおもいます。
この新市長はいままでクリーンでしがらみのないことをウリにしてきただけに残念です。

こういうことが不信任とか辞職勧告とかそういう可能性も考えられるんでしょうか?
辞職は本人の意思でどうにでもなりますが、なんらかのけじめはつける必要はあるとおもいます。
議員の職務と関係ないはずの飲酒運転なんかでも、
議員辞職というケースもあるご時勢ですから
小田原市民 2008/06/13(Fri)09:49:02 編集
? Re:無題
小田原市民さん、コメントありがとうございます。
今回は市長本人ではなく後援会長が犯したものであり、また買収などの実質犯ではなく、形式犯で比較的軽微な違反と言えるので不信任や辞職勧告まではいかないと思います。仮に不信任を決議したら議会を解散させることも可能です。議会としてもその危険を冒してまで市長を追い込むことはないと思います。

また厳しい言い方をすれば、この程度のことで辞任に追い込まれてしまうような市長であれば市長としての資質に欠けると思います。野党が多数派を占める議会と対峙するわけですから今後もっと厳しい状況に追い込まれるでしょうから、市長の危機管理能力を見極める良い機会だとも思います。(すみません、他人事で)


> 選挙中に対立候補だった新市長の運動員に対し、些細なことでも警察沙汰にすると脅しをかけ、事情聴取されたかたもいらしたほどでした。

選挙戦ではこういうことは普通に行われます。
私も事情聴取よりも厳しい警告を受けたこともありますし、脅しをかけることはありませんでしたが、選管や警察に通報したことは幾度となくあります。
厳しい選挙になればなるほどこういったことの応酬になるので、選挙責任者の方は注意が必要です。


>この新市長はいままでクリーンでしがらみのないことをウリにしてきただけに残念です。
市長や後援会長も非を認めてわびており、きっちりと説明と謝罪をすればダークなイメージがつく心配はあまりないと思います。
小田原市民さんは市長の支援者かとお見受けしますが、支援者や市民がしっかりと市長を支えればこれぐらいのことは簡単に乗り切れます。
大型事業の見直しを実現させることのほうがよっぽど大変ですよ。
ぜひとも市長を支えてしっかりとがんばってください。
2008/06/13 14:37
? 無題
私も新市長の選挙にかかわりました。
この選挙では3人が出馬しましたが、
当選した市長と落選したYさんは違反行為を排除しきれいな選挙を心がけていましたが、2位だったTさんが非常に問題のある選挙をしていました。
例の事情聴取の一件もそうですが、
告示前の連呼や文書違反など、違反のオンパレードでした。これは選管も認めていましたが、捜査権はないので放置していました。
また、他の候補者に対し共産党だとか2号さんがいるとか散々デマをながしまくっていました。
しかし、結果は見てのとおりです。こういうことに有権者は愛想が尽きていたんです。

この市長は、他の候補と異なり特定の政党の支持や政治経験がないので、選対をふくめほとんどが素人
でした。いわゆるプロはおらず、逆に手作りの選挙というイメージを持たせることができた反面、
なりふりかまわぬ手をつかってくる対立候補に対しては、うまく対応ができないでいました。ふつうの主婦に選挙の知識なんかあるわけもなく、警察を藪と呼ばれれば怖くて、なにもできなくなってしまいます。今回問題になった飯田さんは中学の元校長先生です。当然、選挙についてまったく畑違いでした。
やはり、餅は餅屋で選挙はプロを参謀としてつけるべきなんでしょうか?素人の手作り選挙という味は失われますけど。
小田原市民 2008/06/13(Fri)18:11:25 編集
? Re:無題
コメントありがとうございます。

読ませてもらって私自身非常に選挙に毒されているなぁとつくづく思い知らされました。
誤解を招くことを恐れずに書くと、選挙に携わる人たちの根底には「勝てば官軍」的な思想が流れています。
ですから、「当選」という最大目標に対して少々の選挙違反は仕方がない、違反のない選挙を心がけても負けてしまっては意味がない、という考えは脳にこびりついています。
このブログを運営している私自身「きれいな選挙」を心がけている訳ではなく、選挙違反のリスクと当選の可能性を天びんにかけて大部分がリスクの方が高いから違反をしないだけです。
ですから警告を受ける可能性が高い行為(裏を返せば警告ですむと予想される行為)については、リスクをしっかり認識・説明した上で行うべきであると考えています。
(ここでいうリスクは摘発ももちろんですが、警察からの警告を受けて選挙運動員の足が止まることも含みます)

この思想がいいか悪いかはわかりません(違反を推奨している段階でダメだと思いますが・・・)が、この思想が強すぎると、小田原市民さんがおっしゃるとおり有権者から愛想をつかされることになると思います。
私も気をつけなければならないと反省しています。

> 餅は餅屋で選挙はプロを参謀としてつけるべきなんでしょうか?

必要ないと思います。
いたほうが心強いと思いますが、素人集団であればあるほどその人への依存度が高くなります。
その高い依存に耐えられるような知識と経験をお持ちの方であれば問題ないと思います。しかし私の経験上そのような人は独りよがりである場合が多く、たまたま摘発を受けていないことを合法と勘違いしている方がほとんどです。
それなら知らないなりに選挙運動員みんなが勉強して、違反かどうかの意見を出し合うほうがよっぽどいいと思います。

私が前回応援に入った選挙でも選対本部長はもともと芸能関係者の方でずぶの素人でしたが、専門書を熟読されて議論に耐えうる知識を得て選挙戦を乗り切り当選にたどり着けたところまで横で見てきました。

よほどの経験者で知識をお持ちの方でなければ、逆に混乱の元になると思います。
2008/06/14 06:21
? 厳重注意
後援会の会長さんは、「厳重注意」となりました。これは、微罪処分などの処罰をされたということでしょうか?それとも、処罰されなかったということでしょうか?法律上、どのように理解したらいいのでしょうか?
こゆるぎ 2008/06/17(Tue)00:17:09 編集
? Re:厳重注意
>後援会の会長さんは、「厳重注意」となりました。

事実上「お咎めなし」ということでしょう。
後援会長や市長も反省していますし事件としても軽微な事犯なので、立件せずに警告にとどめたということだと思います。

警察の内部資料には警告したという事実は残りますが、法律的に何らかのペナルティーが与えられたわけではなく、「次に同じようなことをすると立件するぞ」と警察から脅迫(?)されたということです。

何はともあれ大事にならずに良かったですね。
2008/06/17 10:55
? 加藤市長について
加藤市長の選挙違反問題もひと段落しましたが、
またここにきて厄介なことがおきました。
8月の末になると、彼は選挙の公約(マニフェスト)で以下のことを記載していました。
1.駅前ホール建設
2.閉鎖した小田原地下街の公共施設利用
3.城下町ホール建設予定地への文化施設建設
これらは、ほかの候補とくらべて突出しており目玉的な内容でしたが、議会や市民の理解が得られないとの理由で、3つとも公約撤回してしまいました。
もともと、これらの公約は実現が困難と見られていましたが、あえて公約に掲げて当選しました。
こうも簡単に公約を反故にしていいものなんでしょうか?
できもしないような公約で票を獲得するようなことは許されません。確かに、多くの市民はこれらの公約を支持しているわけではありませんが、世論調査によると投票理由として公約や若さを挙げているわけです。
こういうことは選挙違反とかにはならないのでしょうか?


http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20080830ddlk14010263000c.html
小田原市民 2008/09/01(Mon)18:00:15 編集
? 選挙
JR深名線の路線バス廃止
永江聡 2010/04/19(Mon)23:02:01 編集
? 選挙について

教えて下さい。

私の義父が市議会議員選挙に出馬してます。

はっきり言って手伝いなどしたくなく仕方なくやってます。田舎なので家の者がやるのが当たり前など支部長などしている方から文句や罵声がとびます・・・これってありですか?精神的苦痛でうつになりそうです。私も有権者の一人であり、そこまで言われる筋合いはない!!!と心で思ってます。
わ~りん 2011/04/22(Fri)22:04:32 編集
? 無題
本当に目と良いコンテンツで簡単にサイトのグラフィカルなデザインとナビゲーションのような。他のサイトでは、単にあまりにも追加さであふれている
DSLR-A850 2011/11/13(Sun)10:26:26 編集
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関西方面で衆参の国政選挙を中心に都道府県議会選挙や首長選挙など、多種多様な選挙で候補者選対のスタッフを務め、多数の勝利を経験させていただきました。
選挙に勝つことはもちろんですが、「違反者を出さない」選挙を心がけ、おかげさまで私が入った選挙では公選法関連で問題を起こすことなく無事に選挙戦を進めることができました。
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